「私。去年もここにいたの。



私が、私だってことを偽って、あなたに告白しようなんて、考えてた。



それくらい。あなたのことが好きだったの。



でもね、できなかった。



思いの外、人が多くて足のファンデーションが落ちちゃって。



ジャージ履いて、でも、あなたのことを探して、やっぱりここにきていた。



あなたは見つからなかったけど、1人でいる時間は楽しかったな。




…その紙。去年描いたやつなの。



去年、あなたに出そうと思ってた手紙」




白石はそこまで話すと、深呼吸をして、体をフェンスから浮かせた。



「ねぇ、二井くん。



私、3年前からずっと、あなたのことが好きです。



この気持ち、全然変わってません。



それどころか日に日に好きになってます。



私と、付き合ってくれませんか?」




白石はそう言ってまっすぐ俺の目を見た。




「先、越された」



「へ?」



「俺が言うつもりだったのに」