試合が始まり、少しして。



相手も悪気なんてなかったんだと思う。




1年の仲井が、俺にぶつかって、





俺は、足首の靭帯損傷の大怪我となった。





結局、リハビリはしたものの、元のプレーができるまでには回復しなかった。




バスケをやめてしまった。




入院している間、仲井咲久と、その姉は毎日のように頭を下げに来た。




話すきっかけができたのに、バスケができなくなってしまったショックが大きくて、



次第に仲井に抱いていた好意は何処かに消えてしまった。




運動全般が好きだった俺は、体育の授業も休みがちになり、俺の手元に残ったのは、新品同然の教科書の山だった。




ただ、時間を潰したかっただけだった。




勉強なんて嫌いだし、頭を使うのは難しくて苦手だった。




勉強なんてする予定がなかった。




こんな大怪我になるまでは。