俺はゆっくりペンギンを目指して歩き出した。




白石は俺の後ろをよたよたとついてくる。




それにしても、夏休みだからか、驚くほど混んでいる。




誰だよ、こんなとこ来たいって言ったやつ…。




腕を組んで歩いている大学生ぐらいのカップルや子連れの親子。



他にも走り回る小学生ぐらいの子どもとか、のんびり水槽の前で魚を目で追うお爺ちゃんとか。



これじゃあ簡単にはぐれちゃうだろうな。




ふと後ろを振り返ると既に少し小さめの白石は人の波に飲まれていた。




なんか、妹みたいなんだよな。




おっちょこちょいなとこが特に。




そんなことを少し考えながらも、人に埋もれている白石の手を掴む。




「ふ、二井くん」



「白石、ちっちゃいもんな」



「…っ」




そう言うと白石は少し顔を赤くした。




「な、なに…」




「へっ…あ…あの、笑った、なって…」





そう言われて、自分が微笑んでいることに気づく。