白石は俺と目を合わせる気もさらさらなく、ただ自分の足を見つめていた。



「…私、バスケ下手くそなんだよね」




白石は突然そう言った。





「…あんまり、自分では上手いと思えないの。



もっとこうできる、さっきのはこうした方が良かったのに、って思うことはたくさんあるのに一つも直らないの」




なんとなく、わかる。





「直そうなんて思うだけじゃ直らねぇよ。



似たようなシチュエーション作って慣らさなきゃ直らねぇ」




「へ?」




白石は驚いた顔をした。



俺も、自分で驚いていた。



なんで、こんなこと言ってんだよ。



俺は処置の終わった足を落として、立ち上がった。




「今のはナシ。できたから帰れ」



「え、ちょ、扱いひどくない?一応けが人だよ?



しかも私、歩けないから運んでもらったのに」




「…はぁ」





俺はもう一度椅子に座り込んだ。