水を口に含んだままスマホを操作する光瑠。




「てかさ」




「何」




いきなり光瑠は水を飲み込んで、俺に話しかける。




「お前、補欠でいいわけ?」



「…何が言いたいんだよ」



「だーかーら、俺にはまだ未練があるように見えるって言ってんの!」



「…余計なお世話」






別に俺はもう振り返らないって決めた。



終わったことは仕方ない。



…そう、仕方ないんだよ。





「ほんとに?」




「俺は嘘つかねぇよ」




「お前ほんと、笑わなくなったな」




「あ?うっせーよ」





光瑠は素っ気ない俺に面白くない、という風にまたスマホに目を落とした。





「別に、お前が素直にならねぇなら俺も何も言わねぇよ」





そうボソリと呟くと、立ち上がって何処かへ行ってしまった。




別に。




素直になってないわけじゃない。




ただ、いつまでも引きずるなんて、そんなダサい真似したくない。