「ねぇ、礼央くん」




「ん?」




「ありがと」





結衣の声を聞くたびに、理性が崩れていく。




「なぁ結衣」




「なぁに?」




「朝できなかったこと、していい?」



「…へ?」




俺は、アホな声を出す結衣の両手を片手でつかんで、もう片方の手を、結衣の頬にそえた。




「朝は、咲久に邪魔されたじゃん?」



「だ、だからって今じゃなくても」



「だめ?」




机のライトしか付いていない部屋は、暗くて、表情が読み取りにくいのに、結衣の顔が赤くなったのは、すぐにわかった。




「だめ、じゃない…けど」



「怖かったら、押し返して」




そう言うと、俺は結衣の手を離して、顔を近づける。




そして、ゆっくり俺の唇を結衣のに重ねた。




ほんの一瞬、触れただけのキス。



結衣の唇は驚くほど柔らかくて、理性が飛ぶ。




「ごめん、結衣。ちょっとだけ、我慢して」



「へ…?んっ…んぅ」