余裕綽々に、そう答えた。



「姉ちゃん、テストに答え書かないだけで、勉強はしてたから」




愛おしそうに肘をついて自分の姉を見つめる弟。



その顔はどうも嬉しそうで。



整った顔が際立つ。





「ふーん…」



「姉ちゃん努力家だから。



勉強を始めたのは、多分あの時の生活に嫌気がさしていたからだろうけど」




早々に寝てしまった結衣を見つめながら、ポツリと呟く。





「礼央くんに、何かを変えて欲しいって言う期待をしたかったんじゃない?



ずっと、礼央くんのこと、見てたからね。姉ちゃんは」





ほんとに、いい弟持ったんだろうな、結衣は。




未央なんかにはもったいないかも。




「お前、ほんと姉ちゃん好きだな」



「うん、好き。未央と同じくらい」




咲久は嬉しそうに、子どもみたいな幼い笑顔を俺に向けた。




「別に、素直に結衣ちゃんのことの方が好きって言っても怒らないのに」