がんばって作った朝食は、我ながら美味しかった。特にすまし汁のだしの風味が絶妙で、朝の体にじんわりと染みわたるみたい。

しばらく無言で箸を進めていると、ふいに賢二郎が言った。


「昨日の飲み会、楽しかった?」


ドキ、と心臓がなぜか音をたてる。


「あ、うん」

「何人くらいいたの?」

「7人、かな」

「みんなと仲良くなれそう?」

「ああ、まあ、そうだね。いい人ばかりだし」


質問に答える自分の声が、わずかに上ずっているのを感じた。

わたしは何を緊張しているんだろう。何ひとつ、そんな必要なんてないのに。


「賢二郎の方はどう? あいかわらずお仕事忙しいの?」

「まあ忙しいよ。でも……」


何かを言いかけた賢二郎は、少しだけ視線を泳がせて言葉を切った。


「何? 賢二郎」

「いや、なんでもない。ごちそうさま」