「位置について、よーい……」

パーン!

走り出した要くんは、スタートから群を抜いて早く100mの距離をあっという間に走り抜けた。
もちろん一着で。

その姿はフォームから綺麗で、風を纏ったように軽やかに走り抜けた。
そして、やっぱりかなり早く走ったようなのに息が上がるような状態にはなっておらず一緒に走ったメンバーと話しつつ着順に並ぶ所へと移動して行った。

「松島先輩、すっごいカッコイイ!!」
「ほんとだよね!イケメンで運動神経抜群とかカッコイイしか言えないわ!!」

下級生女子達が興奮冷めやらぬ表情と声で話しながら各自のカラーの待機場所へと戻っていく。

その流れに乗りつつも、私も要くんが走り抜けていった姿を思い返していた。
本当に羨ましいくらいカッコイイなんて。
女子が騒ぐのも分かる気がしたのだった。

そうして、日菜子の二人三脚も応援して、さらに綱引き、障害物競走、棒引きを応援し終わると午前の部が終了。

お昼の時間になる。
各自、学食やパン販売やお弁当持参の子達など散り散りになりつつお昼休憩だ。

私は大きめのレジャーシートを持参してきたので、校庭の一角の木陰になる所に場所を確保していた。

障害物競走を終えた要くんと蒼くんがこちらに気づいて、走って来る。