「柄が大人すぎたかな?これ本当はお姉ちゃんのなの。今回は日菜子も着ることになってこっちを借りて着たんだけれど……」
何だか照れくさくて、ちょっと顔を逸らしつつ聞いた私に要くんは答えてくれる。
「似合ってるよ、すごく。大人っぽくて綺麗で困るくらい……。もしかして、今日は化粧もしてる?」
要くん、よく見てる……。
「うん、お姉ちゃんが珍しくお休みで家に居たからメイクしてもらったの。お姉ちゃん美容部員でメイクに関してはプロだから……」
メイク似合ってなかった?
そんなに派手にはしてないはずだけど……。
不安が顔に出てたのか、要くんが慌ててつつも返事をくれる。
「浴衣とメイクで一気に大人の綺麗な感じになったからちょっと焦っただけ。有紗は元から綺麗で可愛いよ」
要くんのストレートな賛辞に、私の顔は真っ赤になる。
そんな私達を蒼くんと日菜子は微笑ましげに見守ってくれていた。
「よし、それじゃあまずは花火まで出店を楽しんじゃおう!」
蒼くんと日菜子カップルを先頭に、私達はお祭り会場に向けて歩き出した。
この間の水族館デートの時のように。
今日もしっかりと要くんと手を繋いで……。
辿り着いた出店の辺りは、両端にたくさんの出店が並びカラフルなテントと美味しそうな匂いと、賑やかな音に溢れていた。