「えぇ!!有紗のお姉ちゃんって、あの大手化粧品メーカーの星花堂だよね?」
「そうそう。苑田百貨店の星花堂の美容部員」

答えると、ビックリしながら日菜子は言った。

「研修行けるほど売り上げ上げてるなんて、有紗のお姉ちゃんかなり優秀な美容部員だよ!」

多分その通りなんだろう。
お姉ちゃんは昔から器用で気立てが良く、要領もよかった。
きっと、大変なこともいっぱいあるだろうけれど笑顔を絶やさずに仕事も生き生きとこなすお姉ちゃんは、私にとって目標であり尊敬する人でもある。

「うん!自慢のお姉ちゃんだよ」

そうニッコリ答えた頃、見えてきたスーパーの前には背の高いイケメン二人が並んでいた。

「蒼くん!要!ほら見なさい!この可愛い有紗を!」

言うなり、私の背中をグイグイ押す日菜子。
押し出された先は要くんの前。

「有紗、今日は綺麗。人に見せたくないな……」
「有紗ちゃん、綺麗だね!日菜っちも可愛いよ!」

そっから日菜子と蒼くんはすっかり二人の世界だ。
相変わらず二人は仲が良い。

今日の浴衣は日菜子は白地にオレンジや赤の金魚と朝顔の柄の浴衣。
私の浴衣は紺地に牡丹に蝶々の柄の浴衣だ。
この浴衣は本来はお姉ちゃんので、日菜子に着せたのが私のだったりする。
だから柄も色も落ち着いて大人っぽいのだ。