「宏樹くん、要くんいらっしゃい!もうすぐ夕ご飯にするからね」
キッチンからお母さんが声を掛けてくる。
それに、宏樹くんが答える。
「要くんは頭数に入ってただろうけど、俺は急に来たのに大丈夫ですか?」
「ふふ、和紗が昨日のうちに有紗のケーキに釣られて宏樹くんも来るからって言ってたからちゃんと人数分あるのよ」
「さすが和紗。俺の事よくわかってる」
そんな会話でリビングは笑いに包まれつつ、和やかな雰囲気だ。
そこに着替えたお姉ちゃんが戻ってきた。
「あら、なに?宏樹が何かしたんでしょ?」
笑っていた私たちに、その場にいなかったのにも関わらずお姉ちゃんは的確に指摘してくる。
「宏樹さんが突然来たのにご飯を頂いて大丈夫か聞いたら、お母さんがお姉さんが宏樹さんも来るって昨日から言ってたと聞いて。やっぱり仲が良いですよね」
要くんは羨ましそうにお姉ちゃん達ふたりのことを言った。
「私たちからすると、要くんと有紗も初々しくて可愛いわよ」
その言葉に隣の要くんがピシッと固まった。
なので、私はすかさず聞いてみた。
「要くん。照れてる?」
その私の問いに、はぁぁぁと長く息を吐き出すと要くん答えてくれた。
「お姉さんやお父さん達もいるところでこんなふうに言われたら照れるだろ、普通!」
少し語気が強めなのも、照れからきてるのだろう。
リビングの雰囲気はいつも以上に和やかで、楽しい雰囲気に包まれていた。
それは食事中も変わらなくて、私はずっと笑っていた。