だから、私はその溢れてくる気持ちに逆らえず決めていたことを覆すことになった。

恋をしない。

そんな事、特別な人に出会ってしまえば無意味だった。
文化祭での告白も、初めてのデートもとっても楽しくて幸せで、だから気づくのが遅れたのかな……。
私の視力低下はまた進んだ。
手元に視線を合わせるのも短時間で疲れやすくなるほどに。

それでも、私が送れる最後の手作りのものになるかもしれないと思えば頑張って丁寧に編んでいった。
喜んでくれるかな、気に入ってくれるかな。
似合うといいな。

そんな気持ちで編んだ帽子は今までより時間はかかったけれど、とってもいい出来に仕上がった。
それにクリスマスのカードをつける。

そしてプレゼント用に包装して、準備をした。

それが終わる頃に私の覚悟も決まった。
私の病気のこと、もう少ししたらきっと目が見えなくなってしまうことを要くんに話そうと決めた。
それで、要くんが離れてしまうことになってもここまで過ごした日々が私を支えてくれると思えるから。

それくらい短くも濃く過ごしてきたと思う。
ドキドキとする胸を抱えて、私は終業式でクリスマスイブの今日プレゼントを持って学校へと向かった。
終業式が済んだら夕方までデートの予定だ。

話す時間はあるだろう。
話が済むまで、この緊張を抱えるだろう事に少し息を吐きつつ、頬をはたいて気合を入れたのだった。