「だからね、私考えを改めたの。出来ないことがこれから増えるとしても、それは頑張ればまた出来るようになるかもしれないって。それなら恋もしてもいいんじゃないかって……」
そこまで話すと、要くんは少し緊張した面持ちで聞いてきた。
「それは、いいと思う。出来たらその相手は俺であれば嬉しいけれど……」
要くんは少し自信なさげに言う。
「私、この春から過ごしてきて少しずつ要くんを知って。知っていくうちにどんどん気持ちが大きくなっていったの……」
私は要くんを見つめてその手に私から初めて触れた。
「私、恋をしないって決めてたのに気付けば要くんに初めての恋をしていたの。要くんが好き」
私の言葉を聞くやいなや、重ねていた手を握り返されて腕を引かれる。
「俺も、有紗が好きだよ。どんな有紗でも好きだ。俺の彼女になって、俺と付き合って欲しい」
胸に抱きしめられて、そんな真っ直ぐな思いの詰まった声を聞く。
知らずしらず、私の頬には涙が伝い、頬を濡らす。
「泣くなよ」
私の涙に気づいた要くんが柔らかく言う。
「嬉し泣きだからいいでしょ?こちらこそよろしくお願いします」
こうして、私は自分に不安を抱えつつも初めて好きになった人とお付き合いをすることになった。