私の返事に、みんな嬉しそうな笑顔で試しにつけてくれてる子もいる。
賑やかな、お祭りの準備前のワクワクした感じ。
一昨年も去年も感じたけれど、やっぱり今年が一番気合が入ってる気がする。
周りも、私も……。
みんなの笑顔にほっこりしながら、クラスと和風喫茶の文字を書いていく。
部屋の装飾や、メニュー表など続々と完成していく。そこに隣でお化け屋敷準備中の茜が来た。
白のワンピースに、血糊と包帯巻いた姿は明るい中で見るとシュール。
「おお、小山!いきなり背後にいると明るい中でもビビるわ!」
驚いた男子がそんな文句を言うと、茜はその血糊に似合わない明るい顔で笑いながら謝っている。
「ごっめーん!試着中だけどちょっと野暮用出来たのよ!」
そう言いながら茜が私の前にやってくる。
「おつかれ!有紗、ちょっとお願いがあるんだけど」
茜がお願いとは珍しい。
「なに?あんまり大変そうなのはやめてよ?」
軽く笑いながら返すと、茜は手に下げていた袋から出したものを見せてきた。
「有紗、これなんとか出来ない?」
出されたのは少し汚れたぬいぐるみ。
「治すの?」
「いや、どちらかというと壊すの……」
なるほど。
お化け屋敷の装飾として使うのかな?
「それなら、壊さないように傷ついてる風にしようか」