ドライブは快適だった。

同居したもののこの1週間はお互いゆっくり話をする時間があまりなくて、おまけに私が迷惑かけてばっかりで申し訳なく思っていて、きっと高嶺さんは呆れているだろうと思っていたのに、運転しながらも私を気遣い話題をふってくれて頑張って会話しようとしてくれる姿勢に好感が持てた。
それだけでなく、一緒に過ごした初めての1週間が楽しかったとさえ言って貰えたことに驚いた。

「でも……私…ほとんど何にもしてませんよ?週の半分は迷惑かけて寝込んでましたし……」

「あのなぁ?かけられたのは迷惑じゃなくて心配だっての!この1週間俺はずっとお前の心配ばっかりしてる……でもまぁそれもわりと楽しかったかもな?」

「え?私の心配するのが?楽しかったんですか?」

すごく不思議過ぎて思わず聞き返してしまった。

「あぁ。楽しかったよ!病院にいても鈴加は何してんのかなぁ?とかって気になってニヤニヤしてるってナースたちに笑われたけど、常に気になるくらい大切な人がいるってのは初めての経験で新鮮で楽しいなぁって~」

なんだそれ?
常に気になる……大切な人?
それって本当に私のことですか?

そう聞きたくなったけど、勇気が無くて聞けないまま……無難にそうですか~なんて答えてしまって気まずくて視線を窓の外に向けることになった……
高嶺さんもその後は何も言わずに運転に集中している。ふと気がつくと車窓の景色が見覚えのある懐かしいものに変わってきていた。