「おはよう…ございます。」

翌朝リビングに顔を出すと鈴加はすでに朝食の支度をすませてソファーに座って空を見上げていた。

「おはよう。いい天気だな~体調は?」

俺はさりげなく鈴加の手をとりこっそり脈を確かめた……つもりだったが、鈴加にギロッと睨まれる。
焦って視線を外して誤魔化すようにパッと手を離した。

「高嶺さん?今日はお仕事は?」
「今日は1日オフだよ!休みだから心配するな。鈴加の体調が良いなら出かけるか?」

出来るだけさりげなく初デートの誘いをかけてみた。

……。

俺の言葉に急に考えこんだと思うとぽっと見るからに頬を赤らめてうつむく鈴加。

短時間で何を考えたのか?
手に取るようにわかるその様子についにやけそうになりあわてて口許を手で隠してキッチンに目をやる。

「どうする?行くなら早くメシ食べようぜ?」

わざと茶化すようにそう言えば、ますます赤くなった鈴加が小さく頷くのが視界の端に見えた。
俺は内心でガッツポーズをしながらポーカーフェイスを決めたまま朝食の席に着いたのだった。