鈴加はなんでもないことのようにあっという間に昼飯を作ってくれた。
いつも思うが……まるで魔法みたいだ。

今日の昼飯は焼うどんだった。
キャベツがたっぷり入っていて焦げた醤油の匂いに食欲が刺激される。

「うまそうだな。」
「もちろん!美味しいですよ私が作りましたからね~」

珍しく自慢げにそう言って笑う鈴加が無性に可愛い……いかん!また抱き締めたくなった……やばい。

俺はごまかすように焼うどんを口に詰め込んだのだった。


なんかすごい……そんなにお腹すいてたのかな?
すごい勢いで焼うどんを食べてる高嶺さんにちょっと圧倒される。
早食いの大食いなのは職業病らしいけど……大変な仕事なんだろうなぁ~
ちゃんと昼休みがある私とは全然違う忙しさなんだろうし、ちゃんとご飯たべてるのかなぁ?
なんて、私が心配するのは変かなぁ?

「どうした?気分でも悪いのか?」

黙りこんでいた私に高嶺さんが心配そうに眉を寄せて聞いてくる。
「なんでもないです。ちょっと考え事してました。」
「そうか……なら良い。」

高嶺さんはそれだけ言うとまた焼うどんを食べることに集中してしまう。
そんな高嶺さんを見ているのが楽しくてついつい見つめてしまう。
だから食べるのが遅くなってまた心配されてしまう。

「食欲ないのか?ちゃんと食べないと薬飲めないぞ?」
「わかりました。ちゃんと食べれますから!」

高嶺さんにしつこいくらいに心配されて食べ終わるまで監視された。
さらに薬も目の前で飲む。
そこまでしてやっと解放された。

「じゃあ病院行ってくる。帰りは夜中だから戸締まりして早く寝ろよ!」
「わかりました。いってらっしゃい。」

高嶺さんを見送った後でスマホを確かめたら芽衣子から何度もメッセージが来ていることに気がついてあわてて返信した。