「重い!重いです!高嶺さん起きて!」
目を覚ましたらなぜか?高嶺さんに抱き締められていてびっくりする。
背中に回った重たい腕は叩いても身をよじっても全く動かない……。

なんでこんなことに?

眠る前の事を必死で思い出してみる。

確か……仕事に行く行かないでケンカになって、ベッドに投げ落とされて……それから?
そうだ!無理やり注射されたんだった!!
いきなりで腹が立って怒ってたのに高嶺さんにバカ笑いされたんだ!

あれ?
そのあとは?

……?わたし…あのまま寝ちゃったの?

でも?だとしてもなんで?
なんで高嶺さんに抱き枕にされてるわけ?

「もう!高嶺さん!病院行く時間は大丈夫なんですか!いい加減起きてください!」

今度は伸び上がって耳もとで思いっきり大きな声で叫んでみた。
さすがに耳もとだったし効果は抜群!

「うわぁ!?なんだ?」

慌てたように目を開けて辺りを見回した高嶺さんが、腕の中に閉じ込められてる私を見て驚いたように見つめたあとわっ!と言いながら起き上がった。
狭いシングルベッドでいきなり起き上がったからか?その勢いのままベッドから滑るように落ちていく……
あっ!と思って手を伸ばしたが間に合わず、高嶺さんはゴチンという音をたてて落下した。

「っぅつてぃ!」
「高嶺さん?大丈夫ですか?」

あわててベッドから下を見ると、頭を抱えた高嶺さんが悶えていた……。