「ねぇ?燈真さん!鈴加さんは大丈夫なの?」
「う~ん。頭痛ってだけじゃ歩けなくなる訳無いしなぁ……顔色もなぁ……やっぱり病院連れて行って検査した方が良いかなぁ?今夜は高嶺が居るはずだし……せめてちゃんと話ができれば原因も分かるんだろうけど。」

頭のすぐ上で相良先生と実咲さんが話してるのは分かる。
内容もしっかり聞こえてるのに、私は身動きどころか瞼すら重くて動かせない。
なんでだろう?
もしかして?献血のせい?
今までに1度も経験ないから分からないけど、他に思い付かないし……

「うぅぅ……」
何とか声を出そうとしてみるけど唸り声しか出ない……困った。

「あれ?もしかして鈴加ちゃん起きてる?」

わずかに唸っただけなのに相良先生が気づいて声をかけてくれたので、必死で頷く。

「やっぱり!良かった。」
ホッとしたように相良先生が私のすぐ前に座り込む気配がした。

「それで?何がどうしちゃったの?しゃべれないなら指先くらいは動かせないかな?」
そう言いながら私の手をとる。

そうだ!手だ!じゃなくて腕!
腕に献血の時のガーゼが貼りっぱなしだし、これを見たらわかってくれるかも!

私はなんとか指を動かして肘の辺りを指し示してみる。
その動きに相良先生ではなく実咲さん気がついてくれた!

「燈真さん!服の袖捲ってみて!」
言われた相良先生が私の腕を軽く撫でて肘の内側のガーゼの膨らみに気付いて袖を捲ってくれた。

「これは……注射だよな?採血かな?」
相良先生の問いに指を動かして答える。
「鈴加ちゃんは仕事だったんだよね?そもそも病院嫌いな鈴加ちゃんが用事もないのに病院行く訳無いしなぁ…あ!もしかして献血?」

私は肯定の印に指を何度も動かしてみせる。

「なるほど、わかった!鈴加ちゃんは貧血おこしてたんだな!よし。やっぱり病院行こう!!」

え~なんで~やだよ~
と思っても動けないし話せないので、私はすぐに相良先生の車で高嶺さんが居る神城総合病院に連れていかれたのだった。