私、佐伯橙花。高校一年生。
私が入学したのは、この地域一評判の悪い和紀高校。
噂では「ヤンキーがいる」「頭が悪い」「怖い」なんて
よく耳にする。

確かに...見渡した限り、少し派手な先輩が
多いなって感じる。
校則で禁止されているはずの化粧、
ものすごく短いスカート、挙句に茶髪...

私自身は特に見た目が派手な訳では無い。
一般常識くらいは分かる。
あまり勉強が得意じゃないから、
他の学校を受けずに確実に受かるここに来たけど...
やっぱり友達と一緒の高校受ければよかった、
なんて早くも後悔している。

期待よりも不安で胸がいっぱいで
気がおかしくなりそうだけど、私はここで3年間を
乗り切って卒業してみせる。


そう、思った矢先のクラス発表。

体育館での入学式が終わり、
各自クラスへ移動を始めた
私は一年五組だった。

...みんな緊張してるのかな...?
担任の先生の話が終わり、自由時間となった。
だが、誰も席を立とうとしない。
誰も喋らない、静かな教室だ。
隣の教室からは早くも笑い声が聞こえてきた。

このクラスの第一印象は「暗い」だった。
そしてさらに衝撃だったのが
このクラスを含め、学年の女子の人数が約20名。
学年全体の3分の1にも満たない。

だけどそんな中、唯一救いだったのは
あまり関わりはなかったけど同じ中学の
顔見知りが同じクラスだったということ。


クラスに馴染めるか不安なまま下校時刻となった。
家から45分ほどで学校に行けるが、
私は疲れたくなかったのでバス通にした。

バス停に行くと、
クラスメイトの緋野優愛ちゃんがいた。
まだ話した事は無いけど、なんとなく
雰囲気が大人びていて優しそうな人だと思った。

...話しかけてみようかな...?
まだ同じ中学だった子以外と話した事がないから
不安だけど、ここで話しかけないと
次いつ話せるか分からない。よし。
と、意を決して話しかけた。

「はじめまして!同じクラスだよね?」

「あっ、はじめまして。そうだよ笑」

やはりいきなり話しかけたのでびっくりされたけど
その後、クラスの第一印象などを話した。
昨日、優愛ちゃんと連絡先を交換して帰った。
まだ少ししか話してないけど
すごくいい子なのが分かった。
なにより、優愛ちゃんと私は同じものが好きだった。
共通の趣味と言うこともあり、すぐに打ち解けた。


そもそも私の学年は一クラスに
女子が六人しかいない。
だからか、『みんなで仲良く』という考えが
根ずいている。
まぁ...当たり前だとは思うけど。
私は大人数、奇数が苦手だから
あんまり『みんなで一緒に行動』というのは
好きになれなかった。
だからといって反発、決別する
なんて事はしないけど。
揉め事は極力起こさないように、
巻き込まれないように。
誰しもそう考えるはず。私だってそうだ。

とにかく、平穏な日々を過ごそう。
みんなと仲良くして、それなりの日々を過ごそう。
基本的に私は狭く深くという考えだから、
広く浅くという考えは好きじゃないけど
クラスでは広く浅くが好ましいと思った。
クラスメイトに「話しやすい」と、
思ってもらえればいいかな。

初めから暗くてコミュ障発揮してたら
クラスにいつまで経っても馴染めないから。
いつも通りに、今まで通り。
嘘偽りのない、そのままの私でいよう。





そうして、一ヶ月が過ぎた。
クラスの数人で勉強会をした。
その時分かったのが、クラスメイトの佐藤和真が
優愛の事を好きらしい。
優愛自身もその事はもう知っている。
告白はいつするのか、私は和真に聞いてみた

「いつ告るの?」

「まぁ...来週の月曜日の朝、階段に呼ぶよ」

「え、すごい早いね笑
頑張れ。」


月曜日、和真は優愛を呼び出した。
私と和真の友達、関口凛はその場を見守っていた。
結果的に、二人は付き合うことになった



だけど、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。

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