「…まだ帰りません。」


「まだ帰んないの?
今帰るなら家まで送るぞ。」


「…大丈夫です。」


「…そっか。あんまり遅くなんなよ。
んで、気を付けて帰れよ。」




彼女はまたぺこっと頭を下げた。
どんだけ図書室好きなんだよ。



俺は図書室のドアを閉めた。




『あ、名前…聞けばよかった。



別に明日も居るだろ。と思ったが
また体が勝手に図書室に戻っていた。




「お前、、っ名前は!?」


走ったからか、汗が止まらない。
息づかいも荒い。


「……??」


彼女はポケッっとした顔で俺を見てる。


「だからぁ…お前の名前だよ!
なんつー名前なんだよ!」


息づかいが荒いせいか、
口調も荒くなる。


「…ハナ…。」


「ハナ…?」


「山中ハナ。1年です。」


「山中ハナね。俺、広瀬優。3年。」


息づかいも大分落ち着いた。
これでゆっくり話せる。



「…知ってます。野球部でしたよね。」


「?!?なんで知ってんだよ。笑」


「…グラウンドが見えるんです。
ここから。」


「それで知ってんのか。」


「…」


「ハナちゃんはなんでここに座るの?」


「…」


「ん〜、じゃあなんの本読んでんの?」


「…星…。」


「星?」


「…綺麗だから。何回でも読みたくなるの。」


「そっか。星好き?」


「……好き。」


「……。」



好きって言葉に少しドキッとした。