pm 04:12



蝉の声がヒグラシの声に変わった。
風も吹いて図書室は
俺と彼女だけになっていた。


「さぁ〜て、そろそろ帰るかな」


俺は彼女の顔をチラッと見た。



「…。」


彼女は小さくぺこっと頭を下げた。



「お前、帰らないの?」


彼女はじっと俺の顔を見た。


「な、なんだよっ」


初めてちゃんと彼女の顔を見た。
大きな目に吸い込まれそうになった。