図書室に着くと毎回同じ言葉が
頭に浮かぶ。



『また居る。


窓際にはいつも同じ
セミロングの髪、真っ黒な瞳、
肌の白い小柄な女の子が座っている。


あの席に座っている女の子は
いつも同じ本を何度も何度も
読み返している。


最初はあまり気にならなかったが、
毎日いると何故毎日此処にいるのか
何故毎日同じ本を読んでいるのか
何故毎日同じ席に座るのか
気になって仕方がない自分が居た。



「ここ、座っていい?」



俺の体は彼女の目の前に立って
そんな言葉を発していた。



「…どうぞ。」



か細い声で彼女はそっと呟いた。



「ありがと。」



俺は彼女の真正面に座って
本を読み始めた。