「スミレ落ち着いて」

「だって瞳はこれでいいの!? 本当に望んでいることなの!?」


珍しくスミレが瞳に食ってかかかっている。

普段なら止めに入りそうな天花寺や浅海さんも困惑している様子で黙り込んでいた。


いったい何があったんだろう。



「どうしたの、スミレ。そんなに取り乱して」

「真莉亜……だって瞳が!」

振り向いたスミレは今にも泣き出しそうなくらい悲しげな顔をしていて、耐えるように拳を握りしめている。




「昨日連絡した大事な話なんだけど」


瞳は一瞬スミレを気にするように見やったあと、部屋の奥にいる雨宮に視線を向けた。






「雨宮譲と私の婚約の話が進んでいるの」