「英美李様はこの件はどうやって耳にしたのかしら」
「私が朝来たときには広まっていたのよ! それがなによ」
「おかしいですわね。ふたりが血の繋がりがあるなんて、記事には書かれていないわ。先ほど、スミレがふたりに血の繋がりがあると言っても、英美李様は驚きませんでしたね」
「なによ、それ、そんなの……尾ひれがついただけかもしれないでしょう。血の繋がりがないのなら、もっと問題だわ」
攻撃的だった英美李様が弱っていき、スミレの方が迫力を増していく。
記事というのがよくわからない。
けれど、スミレと瞳の様子からすると私と蒼に血の繋がりがあることは知られていないということなのかしら。
「くだらない。花ノ姫同士が陥し入れあってどうするの」
英美李様とスミレの口論に割って入ったのは撫子の君こと小笠原征子様だった。
ダリアの君と親しく、常に行動を共にしている人だけれど争いを嫌い、落ち着いている人だ。