「先ほどから黙って聞いていれば、牡丹の君に向かって失礼よ! 白百合の君」

今日は大人しくしているのかと思いきや英美李様が場の空気を裂くような大きな声で瞳を非難した。


「親しいあなたたちが流した可能性もあるわよね。蒼様が養子だということを知っている人なんて限られているでしょう!」

「英美李様こそ、特待生の浅海くんと仲良くしている真莉亜に対して不満を持っていたわよね」


基本的に花会で発言をあまりすることのないスミレが珍しく好戦的なことを言った。

私以外の花ノ姫も驚いたらしく、スミレに視線が集まる。


「菫の君、まさか私を疑っているの!?」

「そんな風に怒るのも動揺しているように見えるわ。なにか隠し事でもあるのかしら。そもそもどうしてこの件がそこまで問題なのかスミレにはわからないわ」

「わからないですって!?」


今にも掴みかかりそうな勢いで英美李様がスミレを睨みつける。

スミレは臆することなく冷ややかな視線を英美李様に向けていた。