「それではまるで、誰かが紅薔薇の君を陥れるためにわざと広めたみたいだわ」

「そうですね。私はそう思っています」

穏やかだった牡丹の君がわずかに眉根を寄せて、瞳を見遣った。

瞳は顔色一つ変えずに、冷静な口調で言葉を続ける。



「それに真莉亜を責めるのはおかしいです。彼女にはなんの落ち度もありません。ダリアの君がおっしゃったように私たちが真莉亜の家の問題に口を出すべきではないと思います」


避けられてしまっているのかもと思ってしまった自分が情けない。

瞳やスミレはそんな人たちじゃない。

花ノ姫としての立場とかよりも、友達を大事にする人だ。


今まで一緒にいたのだからそれくらい考えればわかるはずなのに、自分で思っている以上に私は弱っていたのかしら。



「噂になってしまい花ノ姫の傷がつくとお考えであるのなら、花ノ姫の制度を管理している理事長にこの件をお伝えして、判断を仰ぐべきかと」