雨宮の大きな手が私の手を掴み、柔らかい何かを掴まされた。

相手の高い体温にどぎまぎとしながらも、手の中にあるものが気になり視線を下げる。



「これ……どうしたの?」

私の手に握らされたのは可愛らしい子猫のぬいぐるみだ。

袋に入った飴を抱きしめていて、袋は金色の何かで結ばれている。


「それは薔薇のチャームがついてて雲類鷲さんにぴったりだなって思ってさ。このまま飾っておくこともできるし、腕につけてブレスレットやストラップにもできるみたいだよ。その黒猫、雲類鷲さんみたいで可愛いよね」

「そうじゃなくて、どうして私に」

「お誕生日おめでとう。一日早いけど」

「え…………な、んで知って」


雨宮に私の誕生日の話なんてしていないはずだ。

原作を読んでいて知っていたとか?

いやでも、雨宮はそこまでしっかりと覚えているわけではないって言っていたから、誕生日なんて覚えていないと思うんだけど。

そもそも真莉亜の誕生日なんて覚えている読者少ないよね。