館内へと促されて、端っこに備え付けられている靴箱に下駄を入れた。

やっと足が解放されて、親指と人差し指の間にまだ何か挟まっているような変な感覚がする。


雨宮の後を追って、児童館の中へと進んでいくと子ども用のおもちゃなどがたくさん置かれている部屋にたどり着いた。

大きな窓のあるその部屋からは眩いくらいの月光が降り注いでいて、電気がなくてもお互いの姿が十分確認出来る。


こういう場所懐かしいな。前世で集合住宅のすぐそばにコミュニティーセンターがあって、その施設の中のこどもルームっていう場所が小学生低学年の頃は遊び場だった。

ここはそこと少し似ている。綺麗に整頓されている大きめの布製のつみきや、壁に沿って並べられた児童書と漫画。フラフープやバランスボールも置いてある。


ぼんやりと室内を眺めていると雨宮がひょっこりと顔を覗き込んできた。


「な、なに雨宮」

「んー、なんかさ……様子おかしくない?」