「雲類鷲さんは凛としていて綺麗な人だなって思ってるよ」

「褒めてもなにも出ませんよ」


まあ私で褒める練習をして浅海さんの前でかっこよく言えるようになるならそれでもいいけど、あんまり言われると私調子乗ってしまうのでほどほどにしていただきたい。


「それに面白いよね。表情豊かでさ、普通の令嬢だったらなかなかやらないことをやってのけるしさ」

「天花寺様、それ本当に褒めてます?」

「もちろん。全部俺の本心だよ」

途中からあんまり喜べない内容だったと思うんだけど。

普通の令嬢だったらなかなかやらないことって、木登りとか変顔のことだよね。けど、スミレもいい勝負だからね。

右足の親指の付け根らへんが擦れて少し痛み、歩き方がぎこちなくなってしまう。

やっぱり下駄って苦手だ。

前世からビーチサンダルとかも苦手で、親指と人差し指を分ける靴とか靴下が苦手なんだよね。

五本指靴下とが履いてみたとき、ぞわぞわしてすぐ脱いだほどだ。