花会が終わり、帰ろうとすると詩央里様と征子様に呼び止められた。


「ごめんなさいね、引き止めてしまって」

「いえ」

花ノ姫の中でも目立つ存在である二人に話しかけられるのは少し緊張してしまう。

私、なにか失礼なことしていないよね?


「英美李さんと雅さんが何か裏で動いているようでしたら教えていただきたいの」

「え……それはどういう」

「あの二人は特待生である浅海奏に何かする可能性があるわ。花ノ姫の中でいじめをする人がいるのなら、私たちも放っておくわけにはいかない。でも学年が違う以上は気づかないことも多いと思うの」

征子様は腕を組み、先ほどまで英美李様たちが座っていた位置をじっと見つめている。

つまりは花ノ姫の名に傷がつくようなことをする可能性がある二人は危険だということかな。


「瞳さんは先ほどの件がありますし、一番中立な立場なのは真莉亜さんだろうと思って」

私が一番頼みやすそうだってことですね。原作通りなら、私が筆頭となって浅海さんをいじめるんだけどね。

自分に疑いを向けられないようにしたいし、浅海さんが嫌がらせを受けるのを見過ごすこともしたくはない。

私が立ち向かったところで雅様たちに勝てるのかはわからないし、二人の存在は心強い。何かあったら成敗してください。



「特に鈴蘭の君にはお気をつけて」