「……どうして彼が悪いのでしょうか」
口を開いたのは、普段はこういった場ではあまり話さないスミレだった。
「一番悪いのは彼に嫌がらせをしている方ですよね」
眉根を寄せてこの状況に嫌悪感を露わにしているスミレの発言に場が凍りついた。
雅様は笑顔を保ったまま口を噤み、英美李様は不服そうにスミレを睨みつけている。
「スミレ様は、彼に同情しているのかしら。けれど、真莉亜様が酷い目に遭わされているのに彼を庇うだなんて無神経ではありませんこと?」
「英美李様、私は大丈夫ですので……」
「まあ、真莉亜様はお優しいのね!」
英美李様は自分の非を認めたくはないらしい。
私としては気にしていることじゃないし、むしろ原作のまま雅様にかかったほうが恐ろしかったから、被害に遭ったのが私でよかったくらいだ。
「けれど、いくらスミレ様といえど発言には気をつけた方が」
「気をつけるのはご自分の方ですよ、英美李様」