「いい子じゃん」


カバンと出している教科書と今日の分のプリントを彼の隣に移動させ、ストンと腰を下ろすと...伸びてきた彼の手のひら。


わたしの頭をポンポンと優しくなでてきた。


「...ひ、人をペットみたいに...っ」


照れているのをごまかすように、シャーペンを握りしめプリントに取りかかり始めた。


「そんなつもりねえよ。

お前、最低な偽物王子にも、そうやって赤くなるんだな?」


わざとらしく言って、わたしの顔をのぞきこむように近づいてくる。


“最低”とか“偽物”とか、わたしが昨日言った単語を入れてくるあたり、憎たらしいったらありゃしない。


しかも、自分で王子とか言っているあたり、やっぱり俺様。俺様王子だ。