日曜日、大毅のサッカーの引退試合は

9時から始まる






なんとなく寝付けなくて

起きたのは学校のある日と変わらない





安定の6時半






徹との待ち合わせは

8時半だけど







朝ごはん食べて

念入りに支度をしても








待ち合わせ場所には30分早い

8時についてしまった











「あ………」






「あ、美咲……」












多分、いま一番会ってはいけない。

会いたくない人に会ってしまった







しかも隣には





私とは正反対の落ち着きがあって清楚で

いかにも男子が好きそうな







小さくて可愛らしい女の子がいた










そりゃ、大毅だって試合に出るんだから

普通に早く会場につくよね?






なにしてんだろ私





ちょっと考えたら

早く家出すぎた時点で

会う確率が上がることくらい分かりそうだ










「へへ、久しぶりだね…っていっても1週間しか経ってないか」

「おう、」








1週間しかっていったけど

私にとって大毅のいない1週間は






気が遠くなりそうなくらい

長くて苦しくて、寂しかったよ








「もうアップしたの?」

「おう」

「そっか、今日はどこと対戦?」

「今日は東第一高校ですよ。大毅の知り合いですか……?」

「あっ、そうなんだ」








大毅に聞いつもりだったけど

隣にいた女の子が答えた







それにあんまり話しかけてもいけないし

迷惑だからそろそろ辞めないとね、








「引き止めてごめんね、今日頑張って」

「おい、美咲」








まだ…笑わなきゃ








「行かなくていいの、大毅?」

「いや、行くわ」






すれ違い様に香る好きな匂いが








「今日は徹の見てるから……ね」

「ぉう、」







涙腺をノックする

何回も何回も叩かれてしまう










最後に隣にいた子に

若干怖い視線を送られたけど

いまはどうでもよかった










「悪い遅くなったって今の大毅だよな?」

「うん」







大毅と入れ違いでそこに現れたのは

かなり焦っている徹だった










「なんか話したか?」

「ちょっとだけ、でも新しい彼女…みたいな子がいて」

「彼女、、、?」

「うん…目がクリクリで髪が栗色のショートボブの子。」








私とは全然違う子だったよ

と続けて笑ってみせた







「それ、サッカー部のマネージャーだろ」

「そうだとしても、もう私は大毅のなんでもないから長話は辞めたよ」








ホントは自分が辛くなるだけだから

逃げ出したくて







話をやめただけなのに











「だから、へらへら笑うなって」

「ごめん…」

「お前のごめんは聞き飽きた。泣きたい時は泣けって」








やっぱり、徹には

助けられてばかりだね









「美咲は強がりすぎなんだよ。もぅと正直になれ、弱音も吐いていい」

「なんで…徹が辛そうな顔するの、?」

「それは、お前が苦しそうに笑うからだろ」









私、やっぱりちゃんと笑えてなかったんだ









「俺が何時間だって聞いてやるし、泣き止むまでそばにいるから」





「ぅん」

「全部、俺にだけは言えよ」









本当に、ほんとに

ありがと、徹…












でも、私は







「私は強くなんてないよ。いつも徹に慰められて助けて貰ってる」

「そうでも無いけど」

「そうでもあるよ、だから今は大丈夫。心配しないで…」

「でも、」

「徹には、!なにかあったら話すから」





だから信じて?