まだまだ残暑を感じるけど

もう秋になった








周りの木々が紅葉をはじめたり

コスモスが咲き誇ったり







まだまだ元気に

ヒマワリも高く上を向いている










色付きはじめて

生まれ変わったように見える植物たち












それなのに、

美咲だけは浮かない顔をしている










「置いてけぼりだな……」








隣から聞こえるのは

こんな感じの言葉ばかり









美咲は笑顔が一番似合うのに

最近はずっと




ニセモノのように

貼り付けた笑顔をしているのは

紛れもないアイツ…大毅くんのせいだ






美咲は相変わらずの

モテっぷりなのに







「美咲……?早くしないと授業遅れるよ」

「あっ、ごめん真央」








どうして美咲をフッた

大毅くんばかり見てるのよ







「ねぇ、美咲」

「ん?」

「新しい彼氏とか作らないの?」

「そんな簡単にはいかないよ」






あれから半年も経つ

新しい恋を考えてもいい頃だよ









身近にだっているんだし

大毅くんにそんなにこだわらなくても










高校最後の年なのに、

こんなんでいいの?










美咲は大毅くんのどこが好きで

何が忘れられないの?












私、何も聞いてないよ

何も話してもらってない













「大毅くんのことまだ忘れられない?」

「え、もう吹っ切れてるよ」










そうやって笑ってるけど

本当は全然……







「美咲の嘘つき」

「え?」







もう…忘れる?



そんなの嘘でしょ?







「美咲ずっと目で追ってるよ、大毅くんのこと。」







ほんとは、本当はずっと









「好きなんでしょ?正直になってよ。私にくらい話してよ。」








まだあいつに向かったまま








「そんなんじゃないよ」

「これ以上、私に…自分に、嘘つくのやめなよ。美咲の心が壊れちゃうよ!」











徹くん、彼女と最近別れたんだよ?

知らないよね







なんで別れたのかも

絶対知らないでしょ?







「そろそろ認めて、まだ未練あるって。じゃないと前に進めないよ」

「ごめんっ……私、本当は…」









徹くんはずっと前から

美咲のこと…









「私、大毅とこと忘れられない…」









好きなんだよ?







それに気づいないのは

美咲だけだよ









大毅くんはなに考えてるんだろ










徹くんが美咲のこと

好きなの知ってて付き合ったくせに













私は絶対、

徹くんの方が









美咲を幸せに出来ると思うのに












どうしてこんなに上手くいかないのよ











徹くんと美咲は

幼なじみっていう名前のある関係だから









近すぎて分からなくなってるだけだよ

だから、










ちょっとは徹くんのこと見てあげてよ












美咲がどれだけ

大毅くんのこと好きなのかは







ここ半年で痛いほど分かった

それでも












って思ってしまう









こんなに虚しくて苦しいことは

ほんと、ないよ……