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放課後、校舎裏に来てください




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そんな手紙を貰えば

普通なら告白だと思うかもしれない







だけど、貰ったのは私で

書いたのはどう見ても女の子。








綺麗で繊細な字だから

すぐに分かる










女子が女子を手紙で呼び出すなんて

告白なわけがない









初めから気づいている私は

特に浮かれることも無く








放課後、決められた校舎裏へと向かった










徹に関係することかな。







モテる徹と地味な私が一緒にいたら

可笑しいから、






その事かな









別に中学の時にも何度があったし

気にしない……









それらを言われたからと言って

徹との関係が


進展することも終わることもない








だって本当に

ただの幼なじみなんだから









それに徹にだって

好きな子くらいいるだろうし








私はそんな話聞いたことないけど









そんなことを考えていると

女の子が現れた









「え、サッカー部のマネージャーさんですよね…?」









目の前に現れたのは

栗色の髪でボブ





小さくて可愛い

いかにも女の子らしい







ヒマワリのように明るい子














確か名前は……

梨花ちゃんだっけ……?











最近、大毅の隣に良くいる

可愛いマネージャーさんではないか












「手紙……書いたのって梨花ちゃん?」

「私だよ、ていうか馴れ馴れしく名前呼ばないで」

「ご、ごめん……」









見た目はゆるっとしてるけど、

結構キツい、しっかりしてる…子?



なのかな……??












「大毅ともう関わらないでくれないかな…」

「え?」

「別れたのに図々しいよ」








梨花ちゃんは目を失せて言う








「大毅がいないと…私ダメなの。もう誰にもとられたくない」









正直、何も言えなかった。








ここまで本音で話してくるなんて

思っていなかったから







もしここで、私が

梨花ちゃんを泣かせるようなことしたら

まずい









でも、私もまだ

大毅のこと好きなんだ










重くて図々しいかもしれない

もう、好きって伝えてはいけない







だけど……








「最近、大毅は美咲ちゃんのこと目で追ってる。私なんてやっと大毅の視界に入れたのにまた離れていこうとする……」











大毅が、私を目で追ってる……?











「私は、他に気になる子がいるからって大毅に振られたんだよ?目で追ってるなんてありえないよ」

「でも!今は私が一番近くで大毅を見てる。だから、間違えないの……」











私も、大毅のこと見てるよ……

なんて口が裂けても言えなかった










「お願いだから、私から大毅を奪わないで」

「…うん、分かった」

「…ありがと」











これで、いいわけない











でも











「なにしてんだ…」

「だ、大毅、」









こんな誰も来なそうな校舎裏に

大毅が来てしまって






梨花ちゃんが慌てている










「わ、私もう行くね!」

「待てよ、美咲」







なんで……








「やめてよ。そうやって掴んでる手、あの記念日の日に離さないでほしかった」










振りほどいた手には

ほんの少しだけ温もりがあった












「大毅、梨花ちゃんと…仲良くね」









後悔ばっかりだ。

私は正直になれない













なんでいつもいつも










「ばいばい」








いい子を演じて

自分の思いを捨てちゃうんだろ










大毅は私の手を掴んで

何を言おうとしたんだろ