腹がどんどん突き出て、重く、動くのが大儀になってきた。

このごろは、食べ物もあまり受け付けず、水ばかり飲んで暮らしている。

いつのまにか、緑色の侵食は、指から腕、腕から体へと進んでいる。

顔色が悪く、そのうち、全身が緑色になってしまうのだろうな、と思われた。

そんな少女を残して、ダズロニータは、東へ旅だった。

彼もまた、全身が、栗色の毛に覆われはじめ、二足歩行が困難になってきていた。

もしかしたら、東の森にたどりつくまでに、彼は、人でなくなってしまうかもしれない。

それでも、彼は、行くのだろう。

かつて妻と呼んだ、愛する者を捜し求めて。

少女は、もう、ほとんど寝たきりの生活をしていたが、重い体を起こして、ふらふらと立ち上がった。

なぜだか、不意に、このままこの街にいてはいけないような気がしたのだ。