少女は、恋人の帰りを指折り数えて待った。

航海は二ヶ月の予定であったが、宇宙船は帰ってこなかった。

海王星で消息を絶ったのだ。

少女は、ネプチューンに抱かれ、恍惚の表情を浮かべている恋人の姿を夢の中で何度も見た。

その妖艶な美女は、恋人をつかまえたまま、離さないのだ。

少女には、それが憎い恋敵に見えた。

恋人は、宇宙の彼方で、人ならざる者の虜になってしまったのだと、思った。

けれども、もしかしたら、あの銀色の翼の宇宙船に乗って、帰ってくるのではないかという想いは、捨てきれなかった。

ひょっとしたら、あのときと変わらぬ笑顔で、何事もなかったかのように帰って来てくれるのではないか、と。