そして、宇宙から帰ってこなかったあの恋人は、獣に変わった自分を、それほどに想ってくれるだろうか、と疑問に思った。

なにしろ、恋人は、ネプチューンに抱かれ、悦楽の境地に達した顔をしていたのだから。


ああ。

それは、夢の中のことだっただろうか。

それとも、現実?

ひょっとして、あの恋人は、たてがみの豊かなサラブレッドになって、どこかへ走って行ってしまったのかしら。

現実と夢と妄想と、なにもかもがごちゃまぜになって、区別がつかなくなりはじめていた。

だんだん、人間としての機能が失われてきたのだ。


そう思うと、奇妙な感じがした。