少女は、両のこぶしを握りしめたまま、あっけにとられて若者を見た。

けれども、若者があんまり自信たっぷりにそう言うので、なんだか、そうかな、と思う気持ちがわいてきた。

不思議な、感覚だった。

「あんた、名前は?」

「ダズロニータ・タルー」

ぷっ、と少女は失笑した。

今までに聞いたことのない響きだったからだ。

「ごめん。笑っちゃって」

「いいさ。珍しい名か?」

「うん。舌、噛みそう」

「そうか」

若者は、笑った。