何を考えているのかわからなくなって、少女はこめかみをトントンと叩いた。

「あのへんは……」

たてがみのある若者が、静かに口を開いた。

「え?」

「あまり行かないほうがいい」

「どうして?」

「理由は、私にもよくわからないが……」

少女は、その若者を凝視した。

ふさふさとした金色のたてがみが、彼の動きについて揺れる。

なんて、美しいんだろう、とうっとりしている自分に気づいた。

「あれが、墜ちたところだそうだか……」

少女は、我が耳を疑った。



墜ちた?