「腹の子を大事にせんと、流してしまうぞ」

老人は、若者に針を打ちながら、言った。

「わかってるわ」

少女は、それだけ答えて、ふらりと立ち上がった。

あまりにリアルな夢だった。

しかも、どこからが夢で、どこからが現実なのか、自分でも区別がつかないような、夢だった。

あるいは、頭がどうかしてしまったのではないか、とさえ少女には思えた。

「ねえ。あの日と同じ、爆発があったでしょう?」

少女は、記憶を手繰り寄せるように訊いた。

「さあ。わしゃ、しらんのぉ」

老人は、そっけない。