なまあたたかい風が、少女の内腿をなぶった。

それは、恋人の愛撫にも似ていた。

少し緊張した唇が、遠慮がちに触れたときの、甘やかな官能の瞬間に酷似していた。



たんぽぽの香りがした。



そうだ。

あのときも、たんぽぽが咲いていた。

少女は、薄むらさき色に染まりかけた夕空を見上げながら、はじめて恋人の肌を感じた時のことを、思い出していた。