いちめんに広がる西洋たんぽぽの草原で、少女は四肢を投げ出して寝ころんでいた。

ときおり空をわたる大きな宇宙船が、少女の腕に足首に、歪んだ影を落とす。

少女は銀色に光る宇宙船を待っていた。

それは、彼女の恋人が乗った船だったからだ。

恋人はちょっと行ってくるよ、と、額にキスをして、出かけて行った。

少女は、なぜだかそのとき、身を切られるような不安にさいなまれたけれど、とうとう、行かないで、とは言えなかった。


そして、それが恋人の姿を見た最後だった。




恋人は二度と、少女のもとへは帰って来なかった。