ひまだな…
そんな事を考えながら来夢がお庭を眺めていると小さなおじさんがひまわりを登っていた。
(えっ?何あれ?見間違いかな?)
そう思い目をこすってもう一度見てみる来夢。
しかし、小さなおじさんの姿は、そこに無かった。
(やっぱ見間違いかー。)
そう思って振り返る来夢。
キャー
思わず来夢は、叫んでしまった。
そこには、さっきひまわりを登っていた小さなおじさんが小さなひまわりを持って立っていた。
「あなた…だれ?」
恐る恐る来夢がたずねると小さなおじさんが、何も言わずひまわりを差し出してきた。
「…くれるの?」
来夢が聞くと、小さなおじさんは、コクリとうなずいた。
「ありがと〜大事にするね」
笑顔で受けとる来夢。
来夢は、小さなひまわりをしばらくながめていると眠くなり眠ってしまった。
目がさめると来夢は、周りが石に囲まれた部屋にいた。
あたりを見回す来夢。
しかし周りに出口らしきものがなく、来夢は、悲しくなって泣きそうになっていた。
「ここどこ…もう出れないの…」
「あきらめないで」
どこからともなくそんな声が聞こえてきた。
「だれ?どこにいるの?」
キョロキョロ見回す来夢。
「ここだよ」
声の聞こえた方に視線を向けると小さなおじさんが立っていた。
「あなたお話できたの?ここは、どこ?」
来夢は、手のひらの上に小さなおじさんをそっと乗せて問いかけた。
「ここは、不思議の国だよ。君は、この国を救うプリンセスとして僕が連れてきたんだよ」
困った顔で来夢は、首をかしげた。
「えっと…あなた頭大丈夫?プリンセスとか不思議の国とか…ちゃんと現実を見たほうがいいよ」
心配そうに語りかけてくる来夢。
「信じられないかもしれないけど現実なんだよ。そもそもわたしの存在が不思議の国存在をしょうめいしてるよね?」
苦しまぎれに、めちゃくちゃな答えを言う小さなおじさん。
そんな小さなおじさんを心配したよう額に指を当て熱がない事を確認する来夢。
「これは、夢の中なんだね。来夢、プリンセスとしてがんばるよ」
笑顔で答える来夢。
大丈夫かよ?と思いながらもホッとした小さなおじさんは、話を続けた。
「ここから抜ける方法は、さっき渡したひまわりを鍵穴にさすのです」
そう言うと小さなおじさんが部屋の壁を指差した。
そこには、小さなひまわりの形の穴があり、そこに鍵をさせば開くと説明した。
「任せて。」
来夢が鍵穴に向かって走り出すとなぜか鍵穴が遠ざかった。
「あれれれー?遠ざかっちゃったよ?」
不思議そうに首をかしげる来夢。
「へっ、あまのじゃくの道も知らないのかよ」
さっきまで小さなおじさんと来夢しかいなかった部屋に1つのマカロンが落ちていた。
「だれ?」
「俺は、マカロンだ。」
落ちていたマカロンが突然話しかけてきた。
よく見ると高いところから落ちたのか少し欠けていた。
「なんでマカロンのくせにしゃべれるの?あまのじゃくの道って何?」
一度に質問されてとまどうマカロン。
「そ、それは、ですね。僕が魔法のマカロンだからだよ。それとあまのじゃくの道って言うのは、今君が歩いた道の事で、前に進もうとしたら後ろに下がり。後ろに進もうとすれば前に進める道の事だよ。」
ふーん
そう言って反対向きに歩きだす来夢。
するとみるみるうちに壁は、近づいてきた。
「すっごーい」
目をキラキラさせながら鍵穴にひまわりをを差し込む来夢。
ガラガラ…ドッシャーン
壁は、音を立てて崩れ去った。
「やったー」
来夢は、喜び振り返るとマカロンを食べる小さなおじさんの姿があった。
「おじさん。そんなの食べたらお腹壊すよ」
来夢が注意すると小さなおじさんは、残ってたマカロンを、なげすて走ってきた。
「いやー、お腹すいてたもんでつい…」
「言い訳なんて見苦しいよ」
来夢に怒られた小さなおじさんは、ごめんなさいと素直に謝ったのだった。