……柚姫と別れる?

「苺ちゃんから、いろいろ聞いているの……。言い方が悪いかも知れないけど……。」

柚姫のお母さんは少し黙りこんだ。

「あなた、苺ちゃんの彼を……」

最後までは言わなかった。優しさなのだろうか……。

…そうだよな……普通、親からしたら、人を殺した奴なんかと付き合わせたくねぇよな…。

でも俺は柚姫を離したくない。何を失ったとしても……柚姫だけは…。

「また後日、連絡します。」

今、決断を決めることはできない。

違う……。できないんじゃない、したくないんだ。

もっと柚姫と居たいから。

柚姫と過ごす時間を大事にしたいから。

『ツーツーツーツー』

電話を切ってベッドに倒れこんだ。

「なんでだよ………なんでなんだよ…!!」

ベッドを殴る。

何回も何回も殴る。

離れたくねぇよ。

けど、全て事実なんだ。

もう……終わりなのか…?

俺の目には涙が溜まっている。

目をゆっくり閉じると溜まっていた涙が一筋、流れてきた。

……どうすればいいんだよ。

沢山の幸せの裏側には沢山の涙があるんだ。

俺は今、その現実と向き合わなければいけないんだ……。