「ハァッ……ハァッ……」

息切れするほど急いだ俺は、いつもより早く学校についた。

昇降口には尋が立っていた。

「おせーよ。」

「…ッハァ…話してくれよ。」

そう言って俺達はその場に座った。

「柚姫は……前まで私立行ってただろ?俺も口止めされてて皆には違う理由を教えたんだ……。和、覚えてるか?」

…えっ…と。

「…私立は遠いから高校からこっちに……って言ったことあるだろ?」

あぁ…あれ……。

「本当は違うんだよ…。」

「…違うって……?」

「本当は……柚姫の私立でいじめあったらしくて、一人の女の子がいじめられててさ……。柚姫もそれに少しだけ加わったらしいんだよね……。」

……柚姫が苛め?

「柚姫、そういう事するタイプじゃねぇじゃん?だから手ぇ加えた訳じゃないんだけどな?なんつーか、女ってリーダーみたいな奴についてくじゃん?柚姫はリーダーっぽい人に言われてシカトしてたらしい。」

…………俺は言葉が出なかった。そんなの、ドラマの中の話でしか…………聞いたことないから…。

「柚姫、本当はそんなことしたくなかったんだと思う。帰ってきてから毎日、ごめんね……って電話して謝ってたから…。でもやっぱりなんもできないんだよ……。」

…そう、だったのか。

「それで柚姫は尋と同じ学校に来たのか?」

尋はそれを聞いて少し考えた。

「まぁ、そうなんだけどな、でもあいつ、少しは向こうで頑張ってたんだけど………」

尋の言葉が止まった。

「その、苛められてた奴、自殺したんだよ……」

………自殺?

「それに、そいつ………柚姫の親友…だったんだ。」

ちょっ……

「ちょっと待った。……柚姫は親友をシカトしてたわけ?」

尋は首を縦にふった。