柚姫は顔を赤くした。

「へへっ…」

1人で笑う柚姫がこんなにも可愛いと思うのは俺だけなのだろうか。

「何買ってく?」

「…言われてないし……何でもいいと思うよ。」

店の中に入ると涼しいクーラーの風が俺達を包んだ。

「……柚姫。」

「ん?」

「アイス食べよっか?」

異常なぐらいアイスが好きな俺。

「食べたい!皆のも買ってこ?」

「じゃあ、アイスだけでいっか……。」

レジに並ぼうとしたら柚姫がいない事に気付いた。

「……いた。」

柚姫を見つけた場所はパンのコーナー。

「…柚姫。行くよ?」

「和く……和詩…私、パン食べる。」

柚姫が手にとっていたのは、菓子パンではなく

「柚姫、それ食パン!?」

「うん!」

食パンだった。

「ここの食パン美味しいんだ。生で食べるともちもちしてるし焼くとサクッってして…………………………………………

隣で永遠に食パンの話をする柚姫。

………ちょっとついていけません。

「わかったから。じゃあそれも入れて……」

喜ぶ柚姫は俺の隣を歩いた。

「あっ……」

「ん?」

柚姫は思い付いたように俺の隣を右から左へ移動した。

「私、左側がいいの。」

「……そんなの決まってるんだ……」

「なんとなく……ね」

買い物を終えて帰ると皆から遅いとブーイングを食らった。

そんなわけで誕生日パーティーは終わりに近づいた。

「じゃあまた明日、学校で」

手を振りながら柚姫の家をあとに帰る。

「和詩!」

後ろを振り向くと、柚姫が居たんだ。

「ハッピーバースデー……」

……………………………………