───夢を見たんだ。とっても嫌な夢だった。枕も服も汗でベタベタ。

智尋…………

起きてるかな?

リビングに行こうとして階段を降りたとき、ミシミシという音が私に緊張感を持たせた。

自分の家なのに、おかしいよね。

『ガチャ』

開いた扉をジッと見つめる智尋。

「柚姫?寝れねぇの?」

智尋の質問にコクンとうなずいた私。

「俺さ……夢を見たんだ。俺以外の皆が………柚姫も和詩も悟も祐芽も………んで亜依も………怖くてよ……一人になんのは嫌で……そんで目が覚めた。」

「………同じ。」

「えっ?」

「私と同じ。私もね?皆いなくなって、私をおいてどっかに行ったの。でも、全然帰ってこないの。………心配でね……?」

ゆっくりソファーに座りながら話す。

「そっか……1人って何なんだろな」

智尋がなんだか、違う人みたいで……

「わかんないや。私って昔から先の事考えないで突っ走るから、止まんないんだ。」

頷いてくれた智尋の方を向いた。

「けどね?もう、昔とは違うの。皆いるから私はきっと、同じ過ちを繰り返さないと思うの。」

私が犯した過ちで智尋にも迷惑をかけた。

『柚姫のせいじゃない…』

何度もそうやって言葉をかけてくれた智尋。

「柚姫は強くなった。和詩に会ってから、ちゃんと自分と向き合えてる。俺は、今の柚姫が好き。」

「智尋………。」

続きの言葉が出てこなくて……

「じゃあ、もう寝よっか!明日、また………」

部屋を出て階段を上がった。

自分の部屋に入ったら静かで少し寂しくなって……。

「寝よう……」

目を閉じると真っ暗。私はこの時間が一番嫌い。

誰も見えない、誰もわからない、誰にも…………

わかってもらえない。

でも明日にはきっとまたわらいあってる……。

愛しいあの人と──…。